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広島地方裁判所 昭和48年(ワ)34号 判決 1974年6月26日

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

本件につき広島地方裁判所が昭和四八年一月二三日にした強制執行停止決定を取消す。

事実

第一、当事者の求める裁判

一、原告

1、被告の原告に対する広島地方裁判所昭和四三年(ワ)第一、三四七号建物明渡請求事件の和解調書の執行力ある正本(昭和四七年四月二四日執行文付与)にもとづく別紙目録記載の家屋部分に対する強制執行はこれを許さない。

2、訴訟費用は被告の負担とする。

との判決

二、被告

主文同旨の判決。

第二、当事者の主張

(請求原因)

一、原、被告間の当庁昭和四三年(ワ)第一、三四七号建物明渡請求事件について、次のような和解が成立し、調書(以下「本件和解調書」という)が作成された。

(一) 被告は原告に対し別紙目録記載の建物部分(以下「本件建物部分」という)を賃料一か月金一万三、〇〇〇円、期間を定めず賃貸し、被告は昭和四四年九月一日以降の賃料を当月分を毎月二六日限り被告会社に持参または送金して支払うこと。

(二) 第二項省略

(三) 原告が賃料の支払を一回でも怠つたときは原、被告間の賃貸借契約は当然解除となり、原告は被告に対し本件建物部分をただちに明渡すこと。

(四) 第四項以下省略

二、被告は原告が昭和四六年一一月から昭和四七年三月までの本件建物部分の賃料支払を遅滞したとして昭和四七年四月一七日付、その頃到達の内容証明郵便で本件建物部分の賃貸借契約解除の意思表示をなし、同月二四日本件和解調書の正本に執行文の付与を受けて当庁執行官に対し本件建物部分の明渡しの強制執行を委任した。

三、しかしながら被告の原告に対する右本件和解調書の執行力ある正本に基く強制執行は次の理由により許されない。

(一) 原告は昭和四六年一一月から昭和四七年三月までの本件建物部分の賃料を各支払期日に被告に現実の提供をしたが、受領を拒絶されたので、昭和四六年一二月一六日同年一一月分の賃料を株式会社広島銀行大手町支店の被告預金口座に振込んで支払つた。

(二) 昭和四六年一一月頃本件建物部分を含む別紙目録記載の鉄筋コンクリート造陸屋根六階建(以下「本件建物」という)の売買交渉が被告と原告が代表者である訴外株式会社翠町ビルとの間に進められていた際、被告は原告に対し本件建物部分の賃料は後日本件建物の売買契約締結の際に精算することとしてそれまで賃料の支払を猶予する旨の意思表示をした。

(三) 原告は昭和四〇年七月一日当時の本件建物の所有者である訴外株式会社翠町ビルから本件建物部分を賃借した際、敷金として一八〇万円を右訴外会社に支払つているところ、その後本件建物は右訴外会社から訴外住宅金融公庫へ、同訴外公庫から被告へと所有権が移転したのであるから、原告は被告が右敷金一八〇万円の返還義務を履行するまで本件建物部分につき留置権を行使する。

(答弁)

一、請求原因一の事実は認める。

二、同二の事実は認める。

三、同三、(一)の事実は否認する。但し原告がその主張の日に昭和四六年一一月分として一ヶ月分の賃料を原告主張の被告預金口座に振込んで支払つた点は認めるが、昭和四六年一〇月分の賃料が遅滞していたので、原告は右一〇月分の賃料債権に充当した。

四、同三、(二)の事実は否認する。

五、同三、(三)の事実中、原告が昭和四〇年七月一日、その当時の本件建物の所有者であつた訴外株式会社翠町ビルから本件建物部分を賃借したことおよびその後本件建物は右訴外会社から訴外住宅金融公庫へ、さらに同訴外公庫から被告へと所有権が移転したことは認めるが、その余の事実は否認する。

第三、証拠関係(省略)

(別紙)

目録

広島市翠町一一五二番地四

家屋番号一一五二番四

一、鉄筋コンクリート造陸屋根六階建

一階 二一九・九三平方メートル

二階 二一九・九三平方メートル

三階 二一九・九三平方メートル

四階 二一九・九三平方メートル

五階 二一九・九三平方メートル

六階  二一・六〇平方メートル

のうち一階八一・七二平方メートル

(別紙見取図中斜線を施した(A)、(B)部分)

(別紙)

翠町ビル平面図

<省略>

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